『在日をやめなさい』は偏見の書です


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Posted by 金明秀 on April 08, 1997 at 19:49:18:

In Reply to: Re: 国籍と参政権 posted by 大塚 恒平 on April 07, 1997 at 18:11:15:

: : たとえば,池東旭さんの『在日をやめなさい』(THE MASSADA)を帰り
: : の飛行機のなかで読みましたが,
: : 【後略】


: 嫌な言い方をすると、自己批判、自己反省は真摯に受け止められても、他人に指
: 摘されるとやっぱり腹が立つということでしょうか。それでもまだ私の読む限り、
: 池さんは在日の立場にかなり理解を示しているように思いましたが、何も理解も
: 知識もない、自分達側の問題点も知らない一部の日本人に鬼の首でも獲ったよう
: に問題点を論われるのは、腹が立つ事だろうとお察しいたします。

: まあそれはいいとして、私には「在日をやめなさい」は中々いい本のように思え
: ました。ただ最終章の方で、在日が現状のままでは国籍を取れない、取る気にな
: れない日本側の問題点は理解しているはずなのに、結局国籍を取らないのは在日
: 側が悪い、甘えているといった論調になるのには疑問を感じましたが...(まあ苦
: 言の書だから仕方ないのかも)。


 ちょっと誤解を招いてしまったようなので,一言付け加えておきます。僕が『在日をやめなさい』にたいして立腹したほんとうの理由は,在日や在米同胞にたいする無知や無理解がありありと露呈していたからです。「たいしてよく取材もしないで勝手なことを書き散らしている」ということですね。

 あとがきにあるように,あの本の原初的な問題意識は,「在日は日本では居候であり,韓国では捨て子だ」というものです。「捨て子」は事実そういう側面があったから表現の問題にすぎませんが,日本国籍を取らないということだけをもって在日を「居候」とする発想は,頑迷なナショナリズムを背景とした逸脱者にたいする攻撃的態度に他なりません。

 とてもじゃないけど,大塚さんが言うように「在日の立場にかなり理解を示している」と言える代物ではありません。もしあれが学術書として出版されたのであれば,僕はすべての研究をあとまわしにして,全面抗戦にはいるところですよ。

 ただたとえば,恨んでばかりじゃなくプラス思考で行こうとか,在日について無知で無理解であるからこそ出てくる常識的な主張もある。それは,比較的自由に民族というものを直視できるようになった僕ら三世以降の世代の観点とどこか共通するところがある。でも,韓国に生まれ育った韓国人がいわば「本家」の人間なんだという狭量な発想を前提とする人間に,偉そうにいわれる筋合いのことじゃないわけですよ。まぁ,言うのは自由ですけどね。

 以上,ハン・ワールドの訪問者のなかで,『在日をやめなさい』が在日社会のことを正確に記述しているなどと誤解する人がいるといけないので,書いておきました。



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