Re: 国籍と参政権


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Posted by 廣 有人 on April 10, 1997 at 08:36:42:

In Reply to: Re: 国籍と参政権 posted by 金明秀 on April 08, 1997 at 18:34:48:


 まず、二重国籍がどうして問題なのかが理解されてないようですからそれから
説明します。

 ふつう新たに国籍を取得するとそれまで持っていた国籍は放棄または喪失させ
られます。それは国家が二重国籍を嫌うからです。どうして嫌うのか。それは二
重に国籍を持つ者に対してどちらの国が権利を持つのか不分明になるからです。
形式としては両方が権利を持つのですが、それぞれの権利が競合するときが問題
です。国家の威信がかかっていますからどちらも譲らないでしょう。結局当人に
選ばせることになるでしょうが、選ばれなかった方の国はその者から自国籍を喪
失させて二重国籍を解消するでしょう。このように国家はその国民に対し独占的
な地位に立とうとします。そしてこれは「国家」を「自治体」、「国籍」を「自
治体の籍」、「国民」を「住民」と読み替えても同じことです。

 では次に自治体にとって国籍は意味を持たないわけではないことの説明をしま
す。日本国と外国は韓国、自治体は大阪府を例にとります。

 国家であればその国籍を取得したときにそれまで持っていた国籍を喪失させる
ことができますが、大阪府は国家ではないのでたとえ大阪府籍を取得しても日本
国籍あるいは韓国籍を喪失させることはできません。だから大阪府の住民には
「大阪府籍を持ち且つ日本国籍を持つ者」と「大阪府籍を持ち且つ韓国籍を持つ
者」の二種類がいることになります。(私が述べた「いわば二重国籍のような状
態」というのはこういう状態のことです)

 そして国家も自治体もその構成員(国民・住民)に対して独占的な地位に立と
うとしますから、国民に対する国家(日本国・韓国)の権利と住民に対する自治
体(大阪府)の権利が競合する場合があります。しかしこれは実際には問題にな
りません。というのもこの場合は常に国民に対する国家の権利が優先されるから
です。しかしこのような状況は大阪府にとっておもしろくありません。大阪府の
独立の度合いが高ければ高いほどよりいっそう不満でしょう。独立国家であれば
日本国籍も韓国籍も喪失させて独占的な地位に立てるのに自治体であるばっかり
にそうすることができない。

 大阪府は日本国に対して従属関係にあり、たとえ大阪府の独立の度合いがどん
なに高くともこの関係は変わりません。したがって大阪府は日本国の主権を排除
できません。しかし韓国の主権が大阪府に及ぶということは全くありません。そ
ういう意味では大阪府は韓国に対してはあたかも独立国家であるかのような態を
なします。大阪府に主権の及ぶ日本国の国籍は排除できませんが大阪府に主権の
及ばない韓国の国籍ならば排除することができます。

 大阪府籍のほかに持つ国籍を一つに絞ることで住民に対する大阪府の権利が国
民に対する国家の権利と競合するのを極力さけることができます。そしてその場
合日本国籍と韓国籍のどちらに絞るかといえば大阪府が従属関係にある日本国の
国籍を選び大阪府とは独立の関係にある韓国の国籍を排除するとしても当然で
す。仮に逆にしたとしても日本国の主権は大阪府に及ぶので日本国籍を持つ者の
参政権を奪うことはできません。そうして韓国籍を持つ者に対しては大阪府の正
式な構成員と認めずに、参政権を与えないということになります。

 日本の国籍に絞れば日本国に対してはそうはいかないが韓国に対しては独占的
地位に立つことができます。つまり、大阪府の正式な構成員のどの一人に対して
さえ韓国は権利を持ち得ないという状況にすることができるわけです。

 以上のようなことから大阪府が「大阪府籍+日本国籍」の者だけを大阪府の正
式な構成員としてそれらの者にのみ大阪府の参政権を与えるとしても正当でしょ
う。自治体にとって住民の国籍が意味を持たないわけではありません。もちろん
国の政策に反しなければ「大阪府籍+韓国籍」の者を大阪府の正式な構成員と認
めてもなんら問題はありません。

 少しは理解できましたか。

:  この辺,まず,なにを言っているのかよく分かりません。

 二重国籍の実質的な意味がわかっていないようですので理解できなくても仕方
ありません。

:  というのも,「国籍」は国家のメンバーシップの標識であって,原理的にはそれ以上でもそれ以下でもありません。つまり,地方自治体のメンバーシップの標識としては,本来,意味を持たないものです。

 だからどうして「意味を持たない」のかを説明しないと私への反論になりませ
ん。それともこれは新しい宗教の教義であって説明しようがないのですか。自治
体なんて所詮国家から独立ではあり得ないし、国際的な関係から断絶しているわ
けでもないのだから自治体が国籍を考慮に入れるとしてもなんら不思議ではあり
ませんが。

:  日吉さんのように,現実としては国家と地方自治体の行政が不可分だという主張なら,話はわかります。しかし廣さんは,「自治体は国家ではないので「国籍」の取得ではなく「住民」となるだけ」と書いており,国籍が地方自治体のメンバーシップではないという原理を支持している。

 してません。「ならない場合もある」というのなら支持しますが。

 国際的な関係を無視して日本国内の自治体どうしの関係だけに限れば国籍は関
係ないでしょう。しかし自治体内の外国人は明らかに外国と関係を持っており、
自治体がそれを一方的に無視することはできません。

:  さて,そのもう一つの解釈ですが,コミュニティの二重構造ないし入れ子構造を想定しているのではないか,というものです。つまり,人は地方自治体に「住民」として帰属しつつも,同時に「国家」にも帰属している。が,人だけでなく地方自治体も国家に帰属している以上,ある地方自治体に帰属した時点で,その自治体が帰属している国家にもある意味で帰属することになる。もし,その人の国籍国が,その人が居住する自治体が帰属する国と異なっている場合,したがって「いわば二重国籍のような状態」になる――ということがおっしゃりたかったのですか?


 違います。「自治体(大阪府)にのみ属するのでなく、国家(日本国・韓国)
にも属することになる」という意味です。「自治体の籍」と「国籍」の二重性の
ことです。自治体のレベルではこの二重性を免れることはできません。念を押し
ておくと、「大阪府籍+日本国籍」と「大阪府籍+韓国籍」の両方ともそうで
す。

:  この学校の例で言うなら,その生徒に学級委員選挙に参加する権利を与えるかどうかは,ひとえに学校の裁量の範囲内だと思います。その生徒は,すでに実態としてクラスCの一員である以上,学籍が他の学校にあるからという理由だけで学級委員の選挙権を与えないということにはならないでしょう。

 私があれだけくどくど書いたにもかかわらずまだ理解されてないようですね。
「学校の裁量の範囲内」であるならば「学籍が他の学校にある」という理由だけ
で「学級委員の選挙権を与えない」としてもなんら問題はありません。もちろん
「実態としてクラスCの一員」だからということで「学級委員の選挙権」を与え
たっていいんです。「裁量の範囲内」とはそういうことでしょう。

:  韓国籍や朝鮮籍をもつ在日韓朝鮮人のほとんどは,特別永住という資格で日本の各地方自治体内に定住しています。学校の例でいうなら,もうクラスCの一員なんですよ。

 だとしても地方自治体が外国人に参政権を与えるつもりがないのならどうしよ
うもないでしょう。それとも「地方自治体はその住民がたとえ外国籍であっても
参政権を与えねばならない」というほどの理論を持っているんですか。




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