Re: 国籍と参政権


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Posted by 金明秀 on April 08, 1997 at 18:34:48:

In Reply to: Re: 国籍と参政権 posted by 廣 有人 on April 08, 1997 at 08:44:59:

 廣さん…(^_^;),もう少し話を整理しましょうか。


: 地方政治に限れば国籍は関係ない
: かのように錯覚するのはまさにその自治体が自治体にすぎず国家ではな
: いからでしょう。仮にその自治体が国家であればその国籍を持たなけれ
: ば参政権は得られないでしょう。しかし自治体は国家ではないので「国
: 籍」の取得ではなく「住民」となるだけなのでいわば二重国籍のような
: 状態になります。


 この辺,まず,なにを言っているのかよく分かりません。文章として矛盾していることがお分かりになりますでしょうか?

 というのも,「籍」は国家のメンバーシップの標識であって,原理的にはそれ以上でもそれ以下でもありません。つまり,地方自治体のメンバーシップの標識としては,本来,意味を持たないものです。

 日吉さんのように,現実としては国家と地方自治体の行政が不可分だという主張なら,話はわかります。しかし廣さんは,「自治体は国家ではないので「国籍」の取得ではなく「住民」となるだけ」と書いており,国籍が地方自治体のメンバーシップではないという原理を支持している。

 だとすると,「いわば二重国籍」というのは,もはや形容矛盾以外のなにものでもありません。

 この矛盾を解くための一つの解釈として,僕は前回,「二重国籍」は「二重帰属」の形容間違いだという議論を展開しました。しかし,それは違うとおっしゃる。僕は議論に関してあまり我慢のないほうですから,禅問答は苦手です。今回,もう一つの解釈を用意しましたが,もしこれも違うとおっしゃるのなら,次回の投稿ではぜひ,論理的な投稿をお願いします。

 さて,そのもう一つの解釈ですが,コミュニティの二重構造ないし入れ子構造を想定しているのではないか,というものです。つまり,人は地方自治体に「住民」として帰属しつつも,同時に「国家」にも帰属している。が,人だけでなく地方自治体も国家に帰属している以上,ある地方自治体に帰属した時点で,その自治体が帰属している国家にもある意味で帰属することになる。もし,その人の国籍国が,その人が居住する自治体が帰属する国と異なっている場合,したがって「いわば二重国籍のような状態」になる――ということがおっしゃりたかったのですか?

 たとえば学校を例にとって考えると,その主張が分かりやすくなりますでしょうか。よその学校Aに在籍している生徒が,何らかの理由で転校しないまま,別の学校BのクラスCに入りたいと言っている。教育委員会と学校Bの校長は事情を考慮して,その生徒をクラスCに在籍させてあげることにした。しかし,その生徒にクラスCの学級委員選挙に参加する権利まではないだろう,と。

 この学校の例で言うなら,その生徒に学級委員選挙に参加する権利を与えるかどうかは,ひとえに学校の裁量の範囲内だと思います。その生徒は,すでに実態としてクラスCの一員である以上,学籍が他の学校にあるからという理由だけで学級委員の選挙権を与えないということにはならないでしょう。

 ところで,もしこの解釈のとおりなら,「いわば二重国籍のような状態」などというワケの分からない形容はやめてください。混乱のもとです。

 韓国籍や朝鮮籍をもつ在日韓朝鮮人のほとんどは,特別永住という資格で日本の各地方自治体内に定住しています。学校の例でいうなら,もうクラスCの一員なんですよ。廣さんがいうところの「いわば二重国籍のような状態」に,すでに,実態としてなっているんですよ。




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